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上腸間膜動脈(SMA)症候群とは

こんにちは。

大谷翔平選手が満票で2度目のメジャーMVPを獲得しましたね。ほんとにすごいと思います。来年の去就が注目されていますが、どこに行っても活躍してくれることでしょう。早くケガを治して欲しい所ですね。

さて、今回は上腸間膜動脈(SMA)症候群という聞き馴染みの少ない病気をお伝えしようかと思います。この病気は吐き気や腹痛の原因の一つの病気です。良かったら最後までお読みください。

上腸間膜動脈(SMA)症候群とは

十二指腸は胃から続く消化管ですが、解剖学的には大動脈と上腸間膜動脈の間を通過して小腸である空腸に移行します。多くの人では、上腸間膜動脈と大動脈の間には十分な脂肪があり、上腸間膜動脈-大動脈の角度が十分に開いていて十二指腸が二つの動脈で圧迫されることはありません。しかし、やせた人では脂肪が少ないため、上腸間膜動脈-大動脈角が狭くなって十二指腸を圧迫し、通過障害を来す「上腸間膜動脈(SMA)症候群」が発症します。

症状

主な症状は食後の胃もたれ感や腹痛、嘔吐(おうと)などです。特に食後に仰向けになると増悪します。腹ばいになったり左側を下にして横になったりすると改善しますが、これは上腸間膜動脈-大動脈角が開いて十二指腸を圧迫しなくなるためです。なお嘔吐した後では自覚症状は速やかに消失しますが、食後に症状が再燃します。

好発年齢・体格

10代から30代のやせた若者に多くみられます。特に10代の発育期では、急に身長が伸びて相対的に腹腔内の脂肪が減少することにより、一時的にこの病気が出現することもあります。また、やせ願望のある若い女性で、食後に嘔吐を繰り返す神経性食思不振症などの心療内科的な疾患との鑑別が難しいこともあります。食べられないと体重がさらに減り、脂肪もより少なくなって上腸間膜動脈-大動脈角がさらに急になり、十二指腸を圧迫して症状が悪化します。また急激なダイエットによって出現することもあります。

また、背骨が横に曲がっている側湾症の患者さんや、あおむけで寝たきりのやせた高齢者にもみられます。高齢者でこの部位に腹部大動脈瘤が出現・増大して上腸間膜動脈症候群を発症、腹部動脈瘤の診断に至ったという報告もあります。

診断・検査

診断は、食事に関連した症状変化から疑われることになります。診断に際しては、腹部単純X線(レントゲン)写真や超音波検査、腹部CTといった画像検査が重要になります。こうした画像検査を行うことで、十二指腸の水平部よりも口に近い部位の消化管が拡張していることを確認することがあります。また、腫瘍などによる十二指腸に対する物理的圧迫所見を否定することができるうえに、上腸間膜動脈と十二指腸の位置関係も描出することが可能です。

腹痛に関連して胃カメラが行われることもあります。ただし胃や十二指腸に痛みの原因になる病気が無い事を確認する事は出来ますが、胃カメラでは上腸間膜動脈(SMA)症候群と確定する事は困難です。

治療方法

治療は、原因となっている状況を解除することが第一に検討されます。具体的には、体重減少が原因と考えられる場合には、適切な体重増加を図ります。

この病気の症状は体位で増悪・軽快を示すこともあるため、食後に楽になる姿勢を取ることが推奨されます。また、一度に大量に食事を摂取するのではなく、少量ずつに分けて食事摂取をするという工夫も必要です。なかには、腸蠕動調整薬や整腸剤が効く場合もあります。

重症例に対しては手術による治療介入も検討されます。手術により十二指腸に対しての狭窄を解除するようなアプローチを行います。

いかがでしたでしょうか?聞き馴染みの少ない病気でしたが、色々検査しても腹痛や吐き気が持続する場合は上腸間膜動脈(SMA)症候群も原因の一つとして考えていかなければ行けません。

心当たりのある方は一度相談に来て頂ければと思います。最後までお読み頂きありがとうございました。

 

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