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美人のサルの話

こんにちは。

ひらたクリニックの副院長の井口です。

気温が高くなってきましたね。気温が高くなってきたときに注意して欲しいのが食中毒です。

今回は美人のサルの話をさせていただきました。良かったら最後までお読みください。

美人のサルの話

「美人のサル」と言っても、決して、愛犬家や愛猫家の「あのイヌ、イケメンやわ」とか「あのネコ、かっこいいね」とかの話ではありません。

なぜなら、私の話はよく脱線しますが、一応、クリニックのブログだからです。

 

と言う訳で、改めまして「美人のサル」の話をします。

サルと言いましても、実際に、日本猿やゴリラ、チンパンジー、オラウータンの話ではなく、サルモネラの事です。

で、長々とネタを引っ張るのもアレなので、ぶっちゃけますと、医学生の暗記の語呂合わせの話です。

その語呂合わせは「ブドウ売る美貌の猿はカエル大」というもので、「ブドウ ウル ビ ボ (ウ) ノ サル (は) カ エル 大」と分解され、それぞれ、「黄色ブドウ球菌」「ウェルシュ菌」「ビブリオ」「ボツリヌス菌」「ノロウイルス」「サルモネラ」「カンピロバクター」「エルシニア」「大腸菌」を指します。

これらは感染性腸炎を引き起こす原因菌で、潜伏期間の短いものから順に並んでいます。

潜伏期間とは

潜伏期間というのは、感染してから症状が出るまでの時間を指します。

潜伏期間の短いモノは数時間程度で発症しますが、遅いモノになると2週間かかるモノもあります。

下痢で来院される人の中に「さっき○○○を食べたのが原因ではないか?」「昼食に当たったのではないか」と心配される方がおられますが、一般の方はこの潜伏期間を考慮していない事が多いため、申告している食事とは別の食事が原因の場合が多いです。

それでは、各々の原因について簡単に見てみましょう。

黄色ブドウ球菌

最短で発症するのは「黄色ブドウ球菌」で摂取後、数時間程度で症状が出現します。高温多湿を好み、調理者の手指を介して感染し、特に手指にキズがあると感染のリスクが高まります。

ウェルシュ菌

次は「ウェルシュ菌」で潜伏期間は6~18時間で、汚染された肉類や魚介類を使った「煮込み料理」で感染し、カレーやシチューなどで注意が必要です。特徴は空気のないところで増える事と、加熱に耐える可能性がある事です。酸素が嫌いなので、調理の際はよくかきまぜて鍋底に空気を送り込みましょう。

腸炎ビブリオ

次は「腸炎ビブリオ」で潜伏期は8~24時間です。夏場に多く、海産の生鮮食品や、それをさばいたまな板や包丁を介しての感染になります。

ボツリヌス菌

「ボツリヌス菌」は土壌、河川、海洋などに広く分布し、潜伏期は8-36時間です。

こちらも酸素が嫌いな菌なので、瓶詰めや缶詰、真空パックや「飯寿司(いずし)」などの保存食品や発酵食品から感染する事が多いです。

ノロウィルス

「ノロウイルス」の潜伏期は24~48時間です。原因菌は二枚貝で、共同生活によるヒトからヒトへの感染もあります。牡蠣をよく食べる11月から2月ぐらいが年間のピークになります。

サルモネラ菌

「サルモネラ属菌」の潜伏期間は12~48時間で、感染源はタマゴ、食肉(ウシ、ブタ、ニワトリなど)です。乾燥に強い菌のため、吐物や汚物の乾燥したものを吸入にも注意しましょう。

カンピロバクター菌

「カンピロバクター菌」の潜伏期間は1~7日で、トリ、ブタ、ウシの腸内に生息しています。イヌやネコの糞便にも生息しているため注意が必要です。

エルシニア菌

「エルシニア菌」の潜伏期は1-14日で生または加熱不十分な豚肉から感染します。殺菌が十分でないミルクや水からも感染します。肉をしっかり焼きましょう。

大腸菌

「大腸菌」といっても色々な種類があり、その潜伏期間はまちまちで長いものになると14日にもなるらしいです。熱に弱いので生肉はよく焼いて食べましょう。

 

とまあ、感染性腸炎の原因は、さまざまで、潜伏期間も多岐に渡ります。

かからない事が一番なので、基本的には感染をしない様に予防に気を配りましょう。

予防の3原則

その1;手の洗浄・消毒の徹底

手には様々な細菌やウイルスが付着しているので必ず手を洗いましょう

・調理を始める前    ・生の肉や魚、卵を取り扱う前

・食卓につく前     ・残った食品を扱う前

その2;迅速な調理・提供と低温保存

その3;加熱処理

 

コレを読んだ方と下痢症状でお目にかからない事を祈っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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