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こんにちは。
もう7月ですね。今年ももう半年が過ぎてしまいました。年を取ると月日の流れが早く感じます。ですので、1日1日を大切に過ごしていきたいものです。
当クリニックへの受診時に血便や下血で受診される方が多くいらっしゃいます。
血便や下血の原因の一つに『痔』があります。今回は、痔についてお伝えしたいと思います。
痔とは?
痔とは肛門および肛門周囲の病気の総称です。
痔疾患は、国民病といわれるほど多くの人が悩まされています。成人の3人に1人は痔を持っているといわれています。実際には、自覚症状のない潜在的な痔を持っている人も多く、正確な患者数はわかっていません。中には症状があっても、市販薬を使い、自分で処置をしている人もいます。
痔の症状は出血や痛み、時には発熱を伴います。放置すれば手術が必要になることもあります。
痔の種類
主なものは、『いぼ痔』と言われる内痔核・外痔核・脱肛を含む痔核、『切れ痔』と言われる裂肛、肛門腺が膿んで肛門周囲にトンネルができ皮膚に穴が開く痔ろう、の3種類に分けられます。
痔核
男女ともに、痔の中で最も多いのが痔核(いぼ痔)です。痔核には、歯状線を境にクッション部分がうっ血した『内痔核』と、外側のクッション部分がうっ血した『外痔核』があります。症状としては、出血や痛み、肛門外へ内痔核の脱出(脱肛)が見られます。
痔核の進行
内痔核は、大きさと症状により4つの段階に分類します。
Ⅰ度 : 直腸に痔核ができる
Ⅱ度 : 痔核が脱出する
Ⅲ度 : 指で押し込むと戻る
Ⅳ度 : 常に脱出している
Ⅰ度からⅡ度の場合は、血行を良くしたり、便秘をしないことで改善します。
Ⅲ度からⅣ度の場合は、痛みや腫れ、出血などの症状を繰り返し、痔核が大きくなり、力を入れたときや排便時に脱出します。手術が必要になる場合もあります。
裂肛
女性に多いと言われるのが裂肛(切れ痔)です。
硬い便や太い便が通過することで、肛門から入ってすぐのところが切れます。この部分は、敏感な神経が通っているため、排便に伴って痛みが起こり、そのあとも痛みがしばらく続くこともあります。
裂肛の治療
生活指導やお薬での治療が中心となります。裂肛の原因の多くは便秘です。そのため、便秘の改善が一番の治療法であり、予防法となります。初期の切れ痔の場合は手術することはありません。まずは、慢性化させないことを目的に治療を進めます。合わせて、坐薬を使うことにより約1週間ほどで治ります。
肛門には負担がかかり切れやすい部分があります。短期間に裂肛を繰り返すと、同じ場所に傷ができるため、傷が硬くなって治りにくくなります。かたい便や太い便だと傷がつきやすいので、肛門に負担がかからない便にすることが大切です。
慢性化して、肛門が狭くなると手術の適応となります。
便が硬くならないようにするには食物繊維や十分な水分摂取、軽い運動などを心がけ、それでも改善しない場合は、必要に応じて適切な薬(軟便剤・緩下剤)を服用します。
痔ろう
肛門小窩に開口している肛門腺に、便中の細菌が侵入し感染を起こします。そして、膿(うみ)がたまりその部分が破れて肛門の周囲にトンネルができてしまった状態が痔ろうです。
膿がたまり急性の炎症を起こしたものを肛門周囲膿瘍といい、強い痛みや腫れ、ときに発熱を伴います。膿瘍が破れて膿が出ると痛みや腫れは楽になりますが、皮膚側の穴が塞がりまた膿が溜まる、という状態を繰り返します。
痔ろうの治療法
痔ろうは根治手術により治すことができます。まれに直腸と外側の皮膚をつなぐトンネル(痔ろう)が自然にふさがり、そのまま治ることもあります。また、放置するとしまりが悪くなるなど肛門の機能が低下します。さらには癌化(痔ろう癌)するものもあります。
治療と使用されるお薬
痔の治療には、食生活や排便などの生活習慣を整えることが大切です。症状の悪化を防ぐため、便秘や下痢を改善することが基本となります。補助的な役割として薬物療法があります。薬物療法に使用される薬剤には、外用剤と内服剤があります。
外用剤
軟膏と坐薬があります。痛み・出血・腫れ・かゆみなどの症状の緩和に使用されます。
内痔核 : 坐薬、注入軟膏
外痔核 : 肛門周囲に直接塗る軟膏と坐薬を使い分ける
裂肛 : 坐薬、注入軟膏
内服剤
毎日の生活の見直しポイント
食生活
○ 朝食をしっかり食べる
○ 極端に食事量を減らさない
○ 水分摂取は十分に行う
○ アルコールをとりすぎない
排便
○ 便意を我慢しない
○ トイレは短く、3分以内で
○ 無理に出そうとしていきまない
運動
○ 毎日適度な運動をしましょう
○ 力作業に注意しましょう(腹圧をかけない)
いかがでしたか?
痔は普段の生活習慣を見直すことで予防、改善できることがあります。しかし、痔疾患は良性疾患とはいえ痛みや、出血がある場合には他の疾患が隠れていないかも含め、早めに病院受診されることをおすすめします。気になる症状がある方はいつでもご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。