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バリウムの話

こんにちは。

ひらたクリニックの副院長の井口です。

今週はまた寒波が襲来するみたいですね。体調に気をつけて頂ければと思います。

さて今週のブログはバリウムの話をさせていただきます。

良かったら最後までお読み頂けたらと思います。

バリウムの話

先日、友人から「胃のバリウム検査で腸に穴が空いて人工肛門になった人がいるってニュースでやっているんだけど、ホンマ?」と電話がありました。

「まあ、悪条件が重なれば、そんな事もあるよ」と返しながら、そういえば、最近、ネット動画で「医師が教えない自分では絶対しない事」というショート動画を見た事を思い出しました。

内容は確か、医師が自分ではうけない検査や治療を各科別で挙げていくという話で、消化器内科医がうけない検査は胃のバリウム検査との事でした。

確かに、学生時代に体験学習としてバリウムを1回飲んだだけで、その後の胃の検査は、ずっと胃カメラでした。自主的に受けていたと言うよりは、後輩の練習台やら、予約の少ない日に空いた枠で健診として受けたりと、仕事の都合上でやっている事が多かった気がします。

消化器内科医としては、バリウムより胃カメラの方が検査としての情報量が多く、有意義なため、患者さんには、積極的に胃カメラを勧めています。

 

ですので、「医師が教えない」訳ではないものの、胃カメラをどうしてもしたくないという人に対しては、しないよりはマシ程度に「バリウムでもよいから受けて欲しい」と言っています。

バリウム検査のメリット・デメリット

今回はバリウムの話なので、バリウムのメリット、デメリットを話していきたいと思います。

バリウムのメリットはほとんどなくて、主なメリットとしては①安価である、②喉がしんどくないぐらいだと思っています。

デメリットとしては、ぱっと思いつく物としては①胃カメラと比べて精度が低く、早期の胃癌を発見しにくい、②ピロリ菌の除菌ができない、③下剤を飲まなくてはいけないが挙がります。

他にも検査台の上で結構動かなくてはいけないなどもありましたね。その流れで検査台から頭から落ちて怪我をする可能性もあったりします。

 

冒頭の話はこのデメリット③が関係してきます。バリウムは飲むときは液状ですが、時間が経つと固形に変わります。なのでバリウム検査の後は固形になる前に下剤で排泄しなくてはならないのですが、仮に腸の中で固形になった場合、腸の形で固まってしまうため、腸にフタがされてしまいます。すると、バリウムがでるまで、便秘の時の様なおなかの痛みが続くか、冒頭の話のように圧が掛かりすぎて(空気を入れすぎた風船の様に)腸が破れるか、といった具合になってしまう事があります。

これらはよっぽど極端な場合の話ですが、可能性はあります。特に便秘の人で起こりやすいので注意が必要です。

 

他のデメリットの話として、まずはデメリットその①ですが、バリウムは影絵みたいなものなので、2次元から物体を想像しなくてはいけません。対する胃カメラは、さながら、カラーテレビの様に情報がダイレクトに伝わってきます。さらに、組織を採ることができるため、気になった部位の組織を採取し、顕微鏡で調べて悪性かどうか、今後、悪性になりそうかどうかが判断でき、癌の予防につながります。。

また、以前はバリウムしかなかったため、医師の経験する画像数が多く、画像の粘膜表面の微細な変化で異常を指摘する神のような診断力を持った医師もいた様ですが、現在では胃カメラが主流になったことにより、バリウムの検査数が激減し、医師に割り振られる経験数も減少することで以前に比べて診断力が低下しているように思われます。

 

デメリットその②の「ピロリ菌の除菌ができない」ですが、まず、ピロリ菌に感染していると、将来胃癌になるリスクが上がります。ですので、ピロリ菌感染しているかどうかをさまざまな検査で確認し、感染していれば余程の事がない限りは除菌を勧めています。

この、ピロリ菌の有無を確認する検査自体は胃カメラをしなくても可能ですが、除菌をする場合、胃カメラをしてないと保険適応にならず自腹で払わなくてはなりません。であるならば、「どうせなら、胃カメラをしたついでにピロリ菌の検査をした方がいいですよ」となります。

この様にバリウムは安価ではあるものの、大雑把にしか分りません。

健康診断のように、症状のない、病気の確率が少ない不特定多数の人に対して、簡便にうけてもらい、その中で病気の可能性が高い人を見つける意味では有用な検査です。

しかし、現代医療の基本である病気の早期発見・早期治療という意味では、胃カメラに劣ると考えられます。

 

胃カメラと聞くとしんどい検査、辛い検査というイメージが定着してしまっていますが、当院では患者様の負担を減らすべく、痛みを抑える薬や眠くなる薬を注射したり、身体に吸収されやすくお腹が張りにくいガスを使用したり、経験数の多い医師による胃カメラを行っておりますので、興味を持たれた方は是非とも、ご相談ください。

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