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こんにちは。
ひらたクリニック副院長の井口です。
今日はカレーうどんの話をさせていただきますが、一部、食事中に閲覧するには不適切となるような表現が含まれている可能性があります。閲覧する際にはご注意ください。
本当に注意してくださいよ?
大丈夫ですね?
それでは始めます。
公の場での食事中にうんちの話は、嫌な顔をするヒトが多いですが、我々、消化器内科の人間にとって、うんちはどんな場面でも、よく話題に上がるテーマです。
それを、食事中とか気にしていては、仕事の引き継ぎや、先輩の経験からの忠告、仕事の相談などができなくなってしまうため、初めは顔をしかめていたヒトも、徐々に鈍感になっていき、最終的には食事中に平気でうんちの話をしてしまうと言うのが消化器系医師あるあるです。
ちなみに、なぜ、この場で「便」とかっこよく言わずに「うんち」と言っているかというと、「大」便は消化器の担当だが、「小」便は、泌尿器担当で消化器の担当ではないための私なりのこだわりです。
今回はそんな、食事中にはしてはいけないような話を一つさせてください。
あれは、大学病院で修行していた頃の事でした。夏のうだる様な暑い日差しの中、入院患者の診察に病棟間を行き来していた際に、突然PHSがなりました。
ディスプレイに表示された名前は指導医で「緊急入院の主治医にでも当たったかな?」と思って電話にでると、「手が空いたら旧病棟へ行くように」との事で、詳細については教えてくれませんでした。
旧病棟とは、増築を繰り返されながら大きくなった大学病院の中で、一番古く、近々立て直しが予定されている病棟でした。他の病棟とは連絡が悪く、今居る病棟からはかなり大回りをしなければいけないため、行くと、戻ってくるにはかなり時間がかかってしまう位置にありました。今を逃すと、次の回診できる仕事の合間は、患者さんの夕食の時間になってしまいます。夕食の時間の回診は患者さんもあまりいい顔はされませんし、その後に回診するとなると寝る前になってしまい、そちらもあまり望ましくなく、できるだけ今の内に回っておきたい状況でした。
緊急入院があったのなら、さすがに病状を教えてくれるハズだし、「手が空いたら」といっている事から、さほど緊急ではないか、今は人手が足りているかのどちらかであると考えられました。
しばらく、頭を悩ませた後、残り数人の病棟回診を続けることにしました。
入院患者さんの回診がおわり、予定の病棟に到着すると、怒り顔の看護師長さんがナースステーションから出てきて、ギロリと私をにらんだ後、顎をしゃくって、汚物室(汚れたおしめや術衣を置いておく部屋)の方へ行くように促されました。
そしてそこには、銀色のバケツに、なみなみと満たされた「うんち」がおいてありました。
中には消化不良気味にニンジンやタマネギ、そして数条の白い帯状のなにかが浮いていました。それはさながら、「キシメンを使用したカレーうどん」の様でした。。
と言うか、猛烈な便臭がしなければ、外観はカレーうどんそのもの。
実はこの白い帯状の何かは寄生虫の一種であるサナダムシで、衛生環境の改善により、日本では数が激減しているというものでした。
実際、私も、標本では見たことがあるものの、生きたものをみたのは後にも先にもこの時だけでした。
つまり、上司は、若手に珍しい症例を経験させようという親心で、私たちに旧病棟へ見に行くように指示したのでした。
しかも、「若手が全員見終わるまでは、便の処理はしないように」とのお達し付きで・・・。
マイペースな医師がなかなか来ないせいで悪臭ただよう便を片付ける事ができなかった師長の胸の内なんて・・・考エタクモナイ。
そんな珍しかったサナダムシですが、最近、魚の生食で感染する事が増えている様です。
サナダムシは様々な種類の条虫をひとくくりにした呼び方であり、見た目が「真田幸村」ゆかりの「真田ひも」に似ている事からついた名前です。
昔は牛や豚の火の通っていない肉からの感染が多かったようですが、最近は魚からの感染が多いようです。
症状はあまりないらしく、あっても下痢、腹痛、嘔気などの不特定な症状です。
見つかるきっかけは虫体がお尻から「こんにちは」したり、その際の不快感です。
治療は、駆虫薬を飲むだけですが、感染は1匹だけとは限らないため、確実に駆虫できたかどうかを、ちょっと面倒くさい検査で確認する必要があります。
これらもアニサキス同様、冷凍保存や火をしっかり通す事で予防できるため、食事の際は注意してください。
最後までお読みいただきありがとうございました。