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内視鏡検査時に麻酔が使えない場合について

こんにちは。

10月も終わりに近づき過ごしやすい日も増えてきましたね。しかし日中は暑い日があったり寒暖差があるので体調を崩されないようにして下さいね。

さて、当院では開院当初より、麻酔を使って行うしんどくない胃カメラ、大腸カメラを目指しています。

しかし、既往症などによっては麻酔が使えない場合があります。麻酔が使えない場合とは何か?について今回はお伝えしていきたいと思います。

内視鏡検査で鎮静剤を使用することの良い点と悪い点は何でしょうか?

鎮静とは、投薬により意識レベルの低下を誘発することです。内視鏡検査時の鎮静とは、処置中の苦痛軽減・精神的不安軽減・安静維持のために行います。投与方法は、静脈内に注射もしくは点滴から行います。特に、負荷の大きい検査・処置時や、不安や緊張の強い方に適応されます。鎮静剤を注射することで完全に眠ってしまう方もいますが、『ぼんやりしている』状態とする麻酔であって必ずしも完全に意識がなくなる状態になる麻酔ではありません。

胃カメラ検査

胃カメラでは、内視鏡がのどの奥を通過するため苦痛を伴います。検査直前にのどの麻酔をすること(咽頭麻酔)によって反射を抑えます。しかし、それでもなお苦痛を感じることも少なくありません。このような場合に、苦痛軽減だけではなく不安軽減を目的に患者様の希望によって意識下鎮静を行います。

大腸カメラ検査

大腸カメラでは、内視鏡を挿入する際に大腸を伸ばしたり、空気(炭酸ガス)で大腸の中を広げて観察することでお腹が張ったり、痛くなることがあります。このような場合にも鎮静によって意識を低下させて緊張を和らげることは苦痛を軽くすることにつながります。また、大腸カメラにおける痛みに対しては鎮痛剤の使用が効果的な場合もあります。

 

いずれの検査においても、多くは呼びかけに反応する程度(意識下鎮静)の鎮静を目指しますが、血圧が下がったり、呼吸が弱くなることがあります。そのため検査中、検査後も意識がはっきりするまでモニターをつけて監視しています。

検査が終了しても薬が効いているためしばらくは休んでいただきます。これらの薬を使用する場合は、薬の効果が完全になくなるまで、検査後1日は自転車、バイク、自動車の運転を控えていただきます。

そのような胃カメラ、大腸カメラの際に使用する鎮静剤(気持ちを落ち着かせる薬)や鎮痙剤(消化管の動きを抑える薬)には、『抗コリン作用』があります。

抗コリン作用とは?

副交感神経の働きを抑える作用があります。具体的にはアセチルコリンという神経伝達物質の作用をブロックすることにより、副交感神経の活動を抑制します。このため、心拍数の増加、瞳孔の拡大、消化管の蠕動の抑制、唾液や消化液の分泌を減少する効果があります。また、眼球にも作用します。

既往症の聴取を行う理由は?

当院で使用しているミダゾラムという鎮静剤は『抗コリン作用』があるため、緑内障がないか確認させていただいています。緑内障は、『開放隅角緑内障』と『閉塞(狭)隅角緑内障』の2つのタイプに分けられます。

緑内障のうち、目の中の水(房水)の排出路が狭い『閉塞(狭)隅角緑内障』の方では、抗コリン作用によって、房水が眼外に排出されなくなり眼圧が著しく上昇することがあります。特に重症な場合には、緊急の処置が必要な緑内障発作が生じることがありますので、これらの薬剤は使用できません。

しかし、元々閉塞隅角緑内障の方でも、レーザー虹彩切開術などの治療を受けた方や、白内障手術後の方は隅角が手術により開放されるので抗コリン作用のある薬剤を使用しても問題はありません。

鎮痛剤について

当院では上記の薬剤以外に、ペチジン塩酸塩という鎮痛剤も使用しています。ペチジン塩酸塩は、医療用麻薬で、鎮痛作用があるため痛みを伴う可能性のある内視鏡検査に用いられる事が多いです。

この鎮痛剤は、妊娠中や授乳中の方には使用する事ができません。妊娠中や授乳中で内視鏡検査をご希望の場合は一度、医師にご相談下さい。

 

いかがでしたか?胃カメラ、大腸カメラを楽に受けたいというのは、どなたでも思われることです。

しかし、使用できない薬剤もありますので、緑内障の治療中の方は、開放タイプなのか閉塞タイプなのかを、眼科主治医へ確認をしていただきたいと思います。

ご不明な場合は一度当クリニックへご相談いただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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