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4年に1度のサッカーの祭典FIFAワールドカップが開幕しましたね。選手たちが怪我なく力を出しきれるといいですね。日本代表が、頑張ってくれることで日本が活気づくことにつながればいいな、と思います。
さて今回は、11月7日にお伝えした『機能性ディスペプシア』の時に処方される漢方薬についてブログを更新しました。よろしければ見てみてください。
まずは、おさらいとして・・・
機能性ディスペプシアとは
症状の原因となる明らかな異常がないのに、慢性的にみぞおち辺りの痛みや胃もたれなどの上腹部症状を表す病気を指します。
慢性的な上腹部症状は、胃や十二指腸の炎症、潰瘍、がんなどの病変によって引き起こされることが多いですが、病変が認められない場合もあります。この場合には、胃や十二指腸の機能的な問題によって症状が引き起こされていると考えられます。
機能性ディスペプシアの罹患率は約15%であると報告され、頻度の高い身近な病気です。命に関わることはありませんが、QOL(生活の質)に影響するため、我慢せずに適切な治療を受けることが大切です。
機能性ディスペプシアと診断されたら・・・
当院では、漢方薬のツムラの43番『六君子湯(りっくんしとう)』が処方されることが多いです。
構成生薬
気を補い、胃腸機能を改善する生薬
ニンジン(人参)・ソウジュツ(蒼朮)・タイソウ(大棗)・カンゾウ(甘草)・ブクリョウ(茯苓)・ショウキョウ(生姜)
胃腸の動きをよくする生薬
チンピ(陳皮)・ハンゲ(半夏)
以上の8種類の生薬が混合されています。
効能・効果
胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症状:胃炎、胃アトニー(胃の蠕動運動が不足している状態)、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐と、なっています。
「機能性消化管疾患診療ガイドライン2014」において機能性ディスペプシアの治療として漢方薬が掲載されており、上腹部症状や食欲不振の改善が認められています。要は、消化管運動障害を改善することによって、胃もたれやみぞおちあたりの痛みを軽減させるということです。
用法および用量
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前または食間に経口投与する。
漢方薬といえば、食間薬となっていることのほうが多いですが、食後に服用されても問題ありません。食後に服用することで、飲み忘れが減ると思われます。しかし、飲み忘れたからといって、1回に2包飲む必要はありません。症状が軽快もしくは、消失している場合は1日1包や2包に減量されても大丈夫です。また、症状出現時に服用されてもかまいません。
副作用
漢方薬は一般的に穏やかな効き目のものが多いことから副作用が少ないと思われている方がいるようですが、どんな薬でも薬効があるのと同時に副作用があります。
以下のような症状が疑われる場合は、先生へ報告を行うようにしてください。
偽アルドステロン症
低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加などの症状が現れる場合。
ミオパチー
低カリウム血症から脱力、四肢痙攣、麻痺等が出現する場合。
肝機能障害、黄疸
肝機能数値が上昇、黄疸が現れることがあります。
漢方薬は飲みにくい?
顆粒の場合、漢方薬を口に入れる前に、まず、水または白湯を口に含みます(この時点では水は飲みこみません)。漢方薬を口に含んだ水の上に落とし、その水と漢方薬を一気に飲みます。そのあと、また水または白湯を飲みましょう。
このように服用することで、飲み込んだ後に漢方薬が口の中にくっついて残ることが少ないです。
服薬ゼリー(子供用のゼリー)などに混ぜて飲む方法もあります。薬局やドラックストアで販売されているので、活用してみてください。
漢方薬を飲むときの注意点
お茶、牛乳、ジュースなどは薬の働き、吸収に影響を与えることもあるので漢方薬と一緒に飲むことは避けましょう。
どうでしたか?
漢方薬は、顆粒状であり飲みにくいと思われがちです。良薬口に苦しと、言われるように苦いかもしれません。しかし、機能性ディスペプシアに有効な薬剤であることが治療のガイドラインにも掲載されていることから、多くの方の諸症状の改善に役立っている現状があります。
お困りの症状がある場合、一度ご相談されてみてはいかがでしょうか?皆さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)向上のお役にたてればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。