
食欲不振
食欲不振
「食欲不振」とは、これまで普通に食べていた量の食事が食べられなくなったり、食事そのものに興味がわかなくなった状態を指します。一時的な体調不良やストレスなどが原因のこともあれば、胃や腸、肝臓、膵臓などの消化器の病気が関係していることもあります。
食欲不振が続くと、栄養不足や体重減少を引き起こし、体調の悪化や免疫力の低下につながるため、早めの受診・検査が重要です。
胃炎や胃潰瘍、慢性胃腸炎、消化不良などにより、食後に不快感や痛みが生じることで、自然と食欲が低下します。特に胃の動きが悪くなると「すぐに満腹になる」「食後に気持ちが悪くなる」などの症状が出やすくなります。
胆石や慢性膵炎では、消化に必要な酵素や胆汁の分泌がうまくいかず、食後に膨満感や吐き気を感じることで食事量が減ります。膵臓がんなど重篤な疾患が潜んでいることもあるため、注意が必要です。
肝臓は代謝や解毒の中心的役割を担う臓器です。慢性肝炎や肝硬変などで肝機能が低下すると、全身のだるさ、吐き気、食欲不振などが起こります。
甲状腺機能低下症では代謝が落ちるため、活動量の減少に伴って自然と食欲が落ちます。逆に、甲状腺機能亢進症では食欲があるのに体重が減るといった症状も見られます。
うつ病や不安障害、過度なストレスも食欲低下の原因です。消化管は「第二の脳」とも言われるほど自律神経の影響を受けやすく、心身の状態が消化機能に影響を与えることが多々あります。
高齢になると、味覚・嗅覚の衰え、咀嚼力や嚥下力の低下、基礎代謝の減少などにより、自然と食事量が減っていきます。食事に対する関心も薄れがちになるため、栄養管理が重要です。
内視鏡検査などで異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれや食後の不快感、食欲不振などの症状が現れる病気です。ストレスや生活習慣、自律神経の乱れが関与するとされます。
胃の粘膜に炎症や傷があると、食事をとることで痛みや不快感が生じ、結果として食事を避けがちになります。特に空腹時や食後にみぞおち付近の痛みを感じる場合は注意が必要です。
膵臓の消化酵素がうまく分泌されなくなると、脂肪やタンパク質の分解が不十分になり、消化不良や膨満感を引き起こして食欲を落とします。脂肪便が見られることもあります。
脂肪を含む食事の後に右上腹部の痛みや吐き気が出る場合、胆石や胆嚢炎の可能性があります。慢性化すると、常に食欲がない状態になることもあります。
肝機能が低下することで代謝が悪くなり、食欲不振や倦怠感、吐き気、黄疸などが現れます。特に肝硬変が進行すると、栄養障害や筋肉の減少も目立ってきます。
進行すると腫瘍が胃腸の動きを妨げ、満腹感や吐き気が強くなることで食欲が著しく低下します。膵臓がんでは、早期から体重減少とともに食欲低下が出ることがあります。
精神疾患では、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れることで食欲に影響が出ます。認知症でも食事に対する関心が薄れ、摂取量が減っていきます。
肝機能や腎機能、膵酵素、炎症反応、貧血、甲状腺ホルモンのバランスなどを確認します。がんの可能性がある場合は腫瘍マーカーを調べることもあります。
胆嚢、肝臓、膵臓、腎臓などの臓器を非侵襲的に確認できる検査です。胆石や肝硬変、膵臓の腫瘍などを見つけることができます。
胃や腸の粘膜を直接観察し、胃炎や胃潰瘍、がんの有無などを評価します。ピロリ菌感染の有無も確認可能です。
TOP