便秘とは？

便秘とは、排便の回数や量が少ない、排便が困難、残便感があるなどの状態が続くことを指します。排便が週に3回未満であったり、排便時に強くいきむ必要があったり、硬い便しか出ない、というような症状があれば、便秘といえます。

「たかが便秘」と軽視されがちですが、便秘は生活の質（QOL）を著しく低下させるだけでなく、大腸がんや腸閉塞、痔、皮膚トラブル、さらには認知機能の低下などとも関連するといわれています。長引く便秘は、消化器内科での診察・検査が必要です。

便秘の主な原因

食生活の乱れ

食物繊維や水分の不足、朝食を抜く習慣などは、腸の動きを鈍らせ便秘を引き起こします。特にインスタント食品や肉類中心の食生活は、腸内環境の悪化にもつながります。

運動不足

腸のぜん動運動（内容物を先に送る動き）は、腹筋や全身の筋肉と連動しています。長時間座りっぱなしの生活や加齢による筋力低下は、便を出しにくくする要因です。

排便習慣の乱れ

朝の忙しさや外出先での排便を我慢することが続くと、便意が鈍くなり、便が腸内に長時間留まることで便が硬くなりやすくなります。

ストレス・自律神経の乱れ

ストレスや緊張、生活リズムの乱れにより、自律神経のバランスが崩れると、腸の動きが低下し便秘が悪化することがあります。いわゆる「過敏性腸症候群（IBS）」もこの一例です。

ホルモンバランスの変化（女性に多い便秘）

妊娠中や月経前、更年期など、ホルモンの影響で腸の動きが抑えられ、便秘になりやすくなります。女性の便秘は、体の変化と密接に関係しています。

薬の副作用

鎮痛剤、抗うつ薬、抗コリン薬、鉄剤、降圧剤（カルシウム拮抗薬）など、便秘を引き起こす副作用がある薬も多く存在します。

器質的な病気

便秘の中には、大腸がんや腸閉塞、甲状腺機能低下症、糖尿病、パーキンソン病などの病気が原因となっていることもあります。特に「急に便秘になった」「血便を伴う」「体重が減ってきた」などの症状がある場合は注意が必要です。

便秘で考えられる主な疾患

機能性便秘（慢性便秘症）

器質的な異常がないにも関わらず腸の動きが悪く、排便困難や残便感が続く状態です。食事・運動・排便習慣の見直しに加え、便を柔らかくする薬や腸の動きを助ける薬を用いた治療を行います。

過敏性腸症候群（IBS）

ストレスや緊張が引き金となり、便秘と下痢を繰り返すことがあります。腸に器質的な異常はないものの、生活の質に大きな影響を及ぼします。

大腸がん

便秘が急に始まったり、血便を伴う場合は大腸がんの可能性も。特に40歳以上で症状がある方は、早めの内視鏡検査が推奨されます。

大腸ポリープ

良性の腫瘍であっても、大きくなると便の通過を妨げて便秘の原因になることがあります。

直腸脱・直腸瘤・骨盤底機能障害

加齢や出産歴のある女性に多く、排便時に強くいきまないと出ない、便が引っかかる感じがするなどの症状が現れます。

便秘の検査方法

問診・診察

排便の頻度・便の硬さ・生活習慣・薬の使用状況などを詳しくうかがい、どのタイプの便秘かを判断します。

血液検査

貧血や炎症の有無、甲状腺機能、血糖値など、全身状態をチェックします。

腹部X線検査（レントゲン）

腸に便やガスがどの程度たまっているかを確認します。慢性的な便秘の診断に役立ちます。

腹部超音波検査（エコー）

腹部臓器（肝臓、胆のう、膵臓など）の異常がないかをチェックします。

大腸内視鏡検査（大腸カメラ）

便秘の背後に大腸がんやポリープが隠れていないかを調べます。特に40歳以上の方や、便秘に加えて血便・体重減少などの症状がある場合には重要な検査です。