下痢とは？

下痢とは、通常よりも水分を多く含んだ軟らかい便が、頻繁に排泄される状態を指します。明確な定義はさまざまですが、一般的には1日に3回以上の軟便または水様便が続く場合に「下痢」とされます。

下痢は、発症の期間によって「急性下痢」と「慢性下痢」に分類されます。数日〜1週間以内で改善する一過性の下痢は「急性下痢」と呼ばれ、ウイルスや細菌などの感染、食中毒などが主な原因となります。一方で、3週間以上にわたって続く下痢は「慢性下痢」とされ、腸の炎症性疾患、薬の副作用、内分泌異常、過敏性腸症候群（IBS）など、より幅広く深刻な原因が隠れていることもあります。

また、下痢は腹痛や嘔吐、発熱を伴うことがあり、症状の組み合わせによっては速やかな受診が必要です。とくに慢性的に続く下痢や、血便・発熱を伴うケースでは、重大な疾患の兆候である可能性があるため、放置せず医療機関での検査・相談をおすすめします。

下痢の原因

感染性下痢症（ウイルス・細菌）

• 細菌性（カンピロバクター・O157など）：夏場や生ものの摂取後に発症しやすく、発熱や血便、激しい腹痛を伴うことも。
• 旅行者下痢症：海外旅行先での不衛生な水や食べ物により発症します。
• ノロウイルス・ロタウイルス：冬に多くみられ、吐き気や嘔吐、激しい下痢を伴います。
• 細菌性（カンピロバクター・O157など）：夏場や生ものの摂取後に発症しやすく、発熱や血便、激しい腹痛を伴うことも。
• 旅行者下痢症：海外旅行先での不衛生な水や食べ物により発症します。

食事やアレルギーによるもの

• 乳糖不耐症：牛乳など乳製品を摂ると下痢になる体質（特に成人に多い）。
• 乳糖不耐症：牛乳など乳製品を摂ると下痢になる体質（特に成人に多い）。
• 食物アレルギー：特定の食材で腸が過敏反応を起こし、下痢を引き起こすことがあります。
• 過度の飲酒・香辛料：腸に刺激を与えることで一時的な下痢を招く場合があります。

薬剤性下痢

• 抗生物質（腸内細菌のバランスが崩れる）
• 糖尿病薬、制酸薬、下剤など

過敏性腸症候群（IBS）

検査では異常が見つからないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛を繰り返す疾患です。ストレスや不安、緊張が引き金になることが多く、若い世代に多く見られます。

炎症性腸疾患（潰瘍性大腸炎・クローン病）

免疫の異常で腸に慢性の炎症が起こる疾患です。下痢に加えて血便や体重減少、倦怠感などを伴うことがあります。進行性の病気であるため、専門的な診断・治療が重要です。

その他の内科的疾患

• 甲状腺機能亢進症：新陳代謝が亢進し、腸の動きが活発になることで下痢が起こります。
• すい臓疾患（慢性膵炎など）：消化酵素の分泌異常で、脂肪分の消化がうまくできずに下痢が続くことがあります。

下痢で考えられる消化器疾患

過敏性腸症候群（IBS）

ストレスや自律神経の乱れなどにより、腸の運動が過敏になる病気です。便秘と下痢を繰り返す「交替型」や、下痢が中心の「下痢型」などがあります。精神的なストレスが誘因となることが多く、若い世代にも多い病気です。

潰瘍性大腸炎・クローン病（炎症性腸疾患）

免疫異常によって腸の粘膜に炎症が起こる病気です。慢性的な下痢・血便・腹痛が特徴で、進行すると全身症状を伴うこともあります。厚生労働省により「指定難病」にも認定されています。

吸収不良症候群

腸が栄養素を適切に吸収できず、便に水分が多く含まれる状態です。乳糖不耐症やセリアック病などが含まれます。

慢性膵炎

膵臓の機能が低下することで、消化酵素の分泌が不十分になり、脂肪がうまく分解されずに**脂肪便（ベタついた油っぽい便）**となることがあります。

大腸がん

進行した大腸がんでは、血便や下痢・便秘の繰り返し、便の形状変化などがみられることがあります。便に血が混じる場合や、急な便通の変化がある場合は早めの受診をおすすめします。

下痢に対する検査方法

問診・診察

発症時期、便の状態、食事内容、旅行歴、服薬内容、既往歴などを丁寧にお伺いします。

便検査

便の中に血液、ウイルス、細菌、寄生虫などがいないかを調べます。便潜血検査や便培養検査などを実施します。

血液検査

炎症の有無（CRP）、貧血の有無、肝機能や膵臓機能などをチェックします。

内視鏡検査（大腸カメラ）

大腸の粘膜の状態を直接観察できるため、潰瘍性大腸炎や大腸がんなどの診断に有用です。

腹部超音波検査・CT検査

腸管の炎症や膵臓、肝臓の異常などを確認するのに用います。