みぞおちが痛いとは？

「みぞおちが痛い」と感じることはありませんか？
みぞおちとは、胸の下、肋骨の間のややくぼんだ部分を指し、医学的には「上腹部」とも表現されます。この部位には胃や膵臓、十二指腸、胆のう、肝臓など、重要な消化器官が集まっており、痛みの原因はさまざまです。

みぞおちの痛みは、キリキリと刺すような痛みや鈍く重い痛み、ズキズキする痛みなど、痛みの種類やタイミングも多様です。また、空腹時や食後、夜間に強くなることもあります。症状が一時的なものであれば過度な心配はいりませんが、繰り返す痛みや慢性的な痛みがある場合は、何らかの疾患が隠れている可能性があり、注意が必要です。

みぞおちの痛みの原因

胃や十二指腸の炎症・潰瘍

胃酸の過剰分泌や、ピロリ菌感染、ストレス、薬剤（NSAIDsなど）によって胃や十二指腸の粘膜が傷つくことで、痛みが生じます。

胆のうや膵臓の異常

胆石や膵炎など、みぞおちの奥にある消化器官のトラブルも、鋭い痛みや突き上げるような痛みとして感じられます。

食道の逆流やけいれん

胃酸が食道に逆流する「逆流性食道炎」では、みぞおち周辺に灼熱感や痛みが出ることがあります。

心因性の消化器症状

ストレスや不安によって胃腸の動きが乱れ、機能性ディスペプシア（FD）や過敏性腸症候群（IBS）としてみぞおちの不快感や痛みが現れることもあります。

みぞおちが痛いときに考えられる消化器系の疾患

急性・慢性胃炎

胃の粘膜が炎症を起こす病気です。暴飲暴食、ストレス、ピロリ菌、薬の副作用などが原因になります。空腹時に痛む、吐き気、食欲不振などが現れます。

胃・十二指腸潰瘍

粘膜が深く傷つき、潰瘍ができる病気です。キリキリした痛みが特徴で、空腹時に悪化し、食後に和らぐことがあります。出血が起きると黒い便（タール便）が見られることもあります。

逆流性食道炎

胃酸が食道に逆流して炎症を起こす病気です。みぞおちや胸のあたりが焼けるように痛む「胸やけ」が主な症状です。特に食後や横になると悪化することがあります。

機能性ディスペプシア（FD）

検査では異常が見つからないのに、みぞおちの痛みや不快感、膨満感などが慢性的に続く状態です。ストレスや自律神経の乱れが関係しているとされています。

胆石症・胆のう炎

胆のうに石ができたり、胆のうに炎症が起こる病気です。みぞおちや右上腹部に強い痛みを感じることがあります。食後に痛みが出る場合は、胆のう系のトラブルを疑います。

急性・慢性膵炎

膵臓に炎症が起こる疾患で、激しいみぞおちの痛みが特徴です。背中にまで痛みが放散することもあります。慢性化すると膵機能の低下につながります。

胃がん・食道がん・膵がんなどの悪性疾患

進行するとみぞおちの痛みとして現れることがあります。食欲不振や体重減少、吐血・下血などがあれば、早期に専門的な検査が必要です。

検査方法

問診・視診・触診

痛みの種類や頻度、食事やストレスとの関連などを丁寧にお伺いし、全身の状態を確認します。

血液検査

炎症反応、肝機能・膵機能、貧血の有無、ピロリ菌の有無などを調べます。

胃カメラ（上部消化管内視鏡検査）

胃や食道、十二指腸の粘膜を直接観察し、潰瘍や炎症、がんの有無を確認します。必要に応じて組織を採取し、生検を行うこともあります。

腹部超音波検査（エコー）

胆石、胆のう炎、膵臓の異常、肝臓の状態などを確認します。