カレーライスの話|医療法人 好友会 ひらたクリニック|羽曳野市、古市駅の消化器内科・内視鏡内科・内科

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カレーライスの話

カレーライスの話|医療法人 好友会 ひらたクリニック|羽曳野市、古市駅の消化器内科・内視鏡内科・内科

2025年6月30日

こんにちは。

ひらたクリニックの副院長の井口です。梅雨が明けましたね。かなり気温が高くなっていますので、熱中症には十分気を付けてください。

さて、以前に「カレーうどんの話」をした時はアレでしたが、今回は普通のカレーライスの話をしたいと思います。

良かったら最後までお読みください。

ちなみに「カレーうどんの話」を作成後、その時の事を思い出して、しばらく、カレーうどんは食べられませんでした。

カレーライスの話

高校時代に、同級生達とカレーのチェーン店におもむき、どれだけ辛いカレーを食べられるかをよく競っていました。

私は中辛から徐々にならしていき、着実にランクアップをしていましたが、メニュー表の最も辛いカレーが限界でした。

そのぐらいの辛さになると辛いというより痛いという感覚に近く、舌もしびれ、汗だくになりながら、水と交互に飲み込んで、なんとか完食という具合でした。

メニュー表の上限はクリアしましたが、その店の辛さの上限はそこではなく、辛子スパイスを何袋、追加するかでどんどん辛くなっていくため、私が一番という事は一度もありませんでした。

いつも勝つのは運動神経抜群の上、成績の良いムードメーカーのやつで、辛子スパイスを10袋ぐらい入れても、うっすら汗をにじませる程度で爽やかに食べていました。味覚ガ オカシイノデハ ナイカ?

その後に負けず嫌いのガリ勉と、負けず嫌いの爽やかイケメンが、その日の体調により前後し、その後に私以下が団子になって続く様な感じでした。

いつも負けるのはマイペースな同級生で「甘口以外はカレーライスではない」と公言していて、そんな競争に参加せずに毎回甘口を食べていました。

その頃は自分より辛くないカレーしか食べられない同級生に優越感を持っていましたが、大学生になってからは、「食を楽しむのに、何と戦っているのだろう?」と気づき、甘口の同級生の精神年齢の高さに感服したものです。と、感服はしましたが、私は中辛ぐらいが好きです。

そんな「カレーライスは好きな辛さで食べるのが一番」と改心した私ですが、医学的に「そうは言っても辛すぎるのはダメだな」と思う事がありました。

それは消化器内科医になって十数年経過していた頃の話です。

その患者さんは男子高校生で、よく下痢をするという症状で来られたのですが、原因がよく分らないのです。

その年代で、その症状だと一番頻度が多いのが感染性腸炎で、何かしらを食べた後にお腹の中で病原菌が増殖して、潜伏期間を経て症状を来すというものです。

しかしながら、感染性腸炎は1週間もすれば何もしなくても症状は軽快する事がほとんどで、繰り返す事はほぼないため、可能性は低く、感じられました。

次に多いのが、過敏性腸症候群という病気で、また、ブログに書こうと思っている病気の一つですが、簡単に言えばストレスで下痢になる病気です。ストレスとの相関性があり、日常生活の行動と密接にかかわってきます。

私はこの病気が一番怪しいと思っていたため、自分が高校生の時に強くストレスを感じた、テストや交友関係など日常生活についてかなり詳しく聞いたのですが、ストレスになる様な出来事は起きていませんでした。

他にも頻度は少ないものの、メッケル憩室やクローン病などの病気の可能性がありましたが、これらは症状が持続する事がほとんどで、「よく、下痢になる」と言う様な、症状が改善することが少ない様に思われました。

ただ、これらの疾患を疑い、詳しく日常生活を聞いて行くにつれて、ある行動が浮かび上がってきました。その高校生は辛いものが大好きで、月に一度は地域で辛い事で有名なラーメン屋に行って、追加で辛さをマシマシにして食べているというのです。

その時期が下痢症状と重なっている事が多かったため、本人、家族にお願いして、下痢のひどい時にカプセル内視鏡(小腸を観察する内視鏡)をさせて頂く事にしました。

すると、小腸の粘膜が、発赤やびらん(潰瘍よりは軽い粘膜傷害)だらけで、広範囲な小腸炎ともいえる状態でした。

小腸は、栄養を吸収する器官であり、消化管の中では一番大事な臓器です。口で食べ物を砕くのも、胃で食べ物を溶かすのも、小腸で栄養を吸収するためです。

そこが、炎症によって、むくんでしまうと、栄養が吸収されずに、大腸に流れ込みます。大腸は栄養を吸収された残りかすの水分を吸収するのが仕事ですが、大量の栄養が流れ込むと処理できずに下痢になってしまいます。

直ちに、その高校生に辛いもの禁止令を出したところ、その後、下痢することはなくなりました。

みなさんも辛すぎるものの摂取にはお気をつけてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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