
体重減少
体重減少
体重減少とは、意図せずに体重が減っていく状態を指します。食事量や運動習慣に大きな変化がないにもかかわらず、徐々に体重が減っていく場合、体内で何らかの病気が進行している可能性が考えられます。
一時的な体重の変動は誰にでも起こり得ますが、数週間から数か月にわたって継続的に減少していくような場合には、早めの医療機関の受診が推奨されます。特に、消化器疾患は体重減少と深く関わっており、消化吸収の異常や代謝の亢進などが関係しています
ストレスやうつ状態、加齢による食欲低下、味覚の変化、咀嚼・嚥下の問題などが関係し、結果として食事量が減ることで体重が落ちていくケースです。
食べていても体に栄養が吸収されない場合、体重は減少していきます。慢性の胃腸炎や膵臓疾患、腸疾患などが関係していることがあります。
体内でのエネルギー消費が過剰になることで、筋肉や脂肪が消耗し、体重が落ちていきます。甲状腺機能亢進症や悪性腫瘍などが代表的な原因です。
結核などの慢性感染症や、肝炎・膵炎といった消化器の慢性炎症でも体重減少を引き起こすことがあります。
一部の薬剤は食欲減退や代謝異常を引き起こし、結果的に体重が落ちることがあります。また、慢性的なアルコール摂取も栄養状態を悪化させる要因です。
がんは体の代謝を亢進させ、エネルギーを大量に消費します。また、食欲の低下、吐き気、消化不良、腸閉塞などを伴い、体重が減少していきます。特に膵臓がんでは、診断時に体重減少が初期症状として現れることが多いとされています。
膵臓は消化酵素を分泌する重要な臓器ですが、その機能が低下すると脂肪やたんぱく質が消化できず、吸収不良を起こして体重が減っていきます。脂肪便や腹部膨満感を伴うこともあります。
小腸の粘膜が損傷するセリアック病や、炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)では、栄養素がうまく吸収されず、体重減少につながります。
明確な器質的異常がない場合でも、胃腸の働きが悪くなることで食欲不振や腹部不快感を引き起こし、長期的に体重減少に至るケースがあります。
肝機能が低下すると、代謝や栄養合成能力が落ち、筋肉量が減少していきます。特に進行した肝硬変では、明らかなやせが見られることがあります。
初期の糖尿病では、血糖値が高いにもかかわらずエネルギーがうまく使えず、体重が減ることがあります。食べても痩せていくという症状が特徴です。
体重の減り方、期間、食欲の有無、便の状態、腹痛の有無、既往歴などを詳しくお聞きします。診察では、腹部の張り、黄疸、腫瘤の有無、筋肉量の低下などを確認します。
栄養状態(アルブミン・総蛋白など)、肝機能・膵機能・甲状腺機能、炎症反応(CRP)、貧血の有無、腫瘍マーカーなどを調べます。
肝臓・胆のう・膵臓・腎臓などを観察し、腫瘍や脂肪肝、胆石などの有無を確認します。
消化管の粘膜を直接観察し、潰瘍、ポリープ、がんなどの病変を調べます。病理組織検査を併用することもあります。
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