黒い便が出るのは？

通常、便の色は食事の内容や胆汁の影響によって黄褐色〜茶褐色になりますが、黒っぽい便（黒色便）が出る場合、消化管のどこかで出血している可能性があります。特に、タール便（黒くてドロッとした便）は、胃や十二指腸などの上部消化管で出血しているサインとされ、早急な検査と診断が必要です。

一方で、食事や薬剤の影響でも一時的に黒い便が出ることがあるため、原因の見極めが大切です。

黒い便が出るときに考えられる原因

上部消化管からの出血

黒色便の代表的な原因は、胃や十二指腸、食道などの上部消化管からの出血です。出血した血液が腸を通過する過程で酸化され、黒く変色して排出されるため、便の色が黒くなります。

具体的には以下のような病気が考えられます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃酸によって粘膜が傷つき、出血を起こすことで黒色便が出現します。特に、潰瘍が深くなると大量出血のリスクもあり、貧血やめまい、冷や汗などを伴うことがあります。

胃がん

初期には症状が出にくい胃がんですが、進行すると出血を起こし、黒い便として現れることがあります。胃がんによる黒色便は、体重減少や食欲不振など他の症状と併発することもあります。

食道静脈瘤破裂

肝硬変などに伴って食道にできる静脈瘤が破裂した場合、大量の吐血とともに黒色便を伴うことがあります。緊急を要する状態です。

消化管出血（NSAIDsやステロイドなどの薬剤性）

鎮痛薬や抗炎症薬の長期使用により、胃腸の粘膜が荒れたり潰瘍ができて出血することがあります。服薬歴も重要な手がかりとなります。

黒い便の特徴と見分け方

• タールのように黒く、ねばつき・強い臭いがある場合：消化管出血の可能性が高い
• 黒いけど便の形やにおいに異常がない場合：食事や薬剤の影響の可能性

ただし、自己判断は危険です。重大な病気が潜んでいる可能性があるため、黒い便が出た場合は医療機関への相談が最も確実です。

黒い便が続くときに疑うべき疾患

消化性潰瘍（胃・十二指腸）

症状：みぞおちの痛み、吐き気、食後の胃もたれ、空腹時の痛み、黒色便
放置すると穿孔や大量出血の危険があります。

胃がん

症状：黒色便、食欲低下、体重減少、貧血、吐き気
初期は無症状のことが多いため、便の異常が初期のサインになることもあります。

食道静脈瘤破裂

症状：黒色便、吐血、強い貧血、意識低下
肝疾患の既往がある方は特に注意が必要です。

黒い便が出た場合の検査黒い便が出た場合の検査

血液検査

貧血の有無、出血の程度、肝機能、腫瘍マーカーなどを確認します。

便潜血検査

肉眼では確認できない血液の混入を調べる検査です。便に混じった微量の血液を検出します。

上部消化管内視鏡（胃カメラ）

胃や食道、十二指腸の粘膜を直接観察し、出血の部位や原因を特定します。必要に応じて生検（組織の採取）も行います。

腹部超音波検査

肝臓や胆嚢、膵臓、その他の消化器の評価に有効です。